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【読書感想】伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』4人組の正体がついにバレてしまう!?

伊坂幸太郎さんの陽気なギャングシリーズ3作目。

1作目『陽気なギャングが地球を回す』が2003年、2作目『陽気なギャングの日常と襲撃』が2006年に発表され、今回の『陽気なギャングは三つ数えろ』は前作から9年経った2015年に発表された作品です。

銀行強盗4人組が自分たちの正体を週刊誌記者に知られてしまうという、絶体絶命のピンチを迎えてしまいます。今回も最後まで結末が読めない展開となっていました。ということで、『陽気なギャングは三つ数えろ』を読んだ感想を書いてみようと思います。

これまでの作品についての記事も書いていますのでよろしければどうぞ。

第1作目>>【読書感想】伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』個性豊かな4人の銀行強盗の話

第2作目>>【読書感想】伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』4人の日常が垣間見える作品です

銀行強盗は4人いる

銀行強盗が一人いた。自由気儘に仕事ができる上に、打ち合わせもいらない。はじめのうちは良かったものの、だんだんと孤独を覚え、独り言が増える。指を鳴らすと銀行強盗の仲間が一人でき、二人組となった。

会話を交わし作業を分担し、 楽しく過ごせたがやがて話題が尽きる。顔を合わせるだけで腹が立つ。楽屋でいがみ合う漫才師のように互いのことに苛々しはじめる。再び指を鳴らす。仲間がまた一人増えた。

三人はいい。バランスが取れ、二人が喧嘩をすれば一人が仲裁に入れる。が、三人寄れば派閥が生まれる。これでは銀行強盗はそっちのけだ。テニスをやるにも、誰が審判をやるかで揉める。三たび指を鳴らす。四人ならダブルスができる。

というわけで、銀行強盗は四人いる。

(出典:『陽気なギャングは三つ数えろ』)

陽気なギャングシリーズの冒頭にいつも掲載されている、「なぜ、銀行強盗が4人なのか」という理由を伊坂さんなりに面白く書かれている部分です。作品の内容と直接は関係ありませんが、いつも楽しく読ませてもらっています。

陽気なギャングシリーズ3作目

これまでの作品を知っている人には説明不要かと思いますが、本作品の主要キャラである4人の銀行強盗はそれぞれ個性的な特殊能力をもっています。

  • 人が嘘をついているかどうかを見抜く、人間嘘発見器の才能を持った男、成瀬。
  • でたらめな言葉を並べて人を引きつける演説の名人、響野。
  • 人間より動物が大好きなスリの天才青年、久遠。
  • 精確な体内時計を持つ女性、雪子。

この4人の他にも本作では

  • 失踪中のアイドル、宝島沙耶。
  • 他人のプライバシーなんか気にせずネタにする週刊誌記者、火尻。

などが登場します。

週刊誌記者に追い詰められてしまう4人

本作では、冒頭の銀行強盗から数日後、4人組がホテルのラウンジカフェに集まったところから物語が進みます。

そのホテルには消えたアイドルを追う週刊記者の火尻が滞在していて、久遠が火尻を暴漢から救います。しかし、火尻は事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者。そんな厄介な男に4人組の正体がついにバレてしまいます。火尻はそれをネタに、自分の借金を肩代わりさせようと様々な手を使って4人を攻撃してきます。

終盤に至るまで、火尻が一方的に4人を追い詰めていく展開となっていて、少し嫌な気分になりますが、最後はいつも同様に気持ちのいい結末になっています。

陽気なギャングシリーズでは、4人組のリーダーである成瀬のアイデアで物語が締められることが多いですが、本作はスリが得意な久遠を中心に話が進んでいきます。

気楽に読むことができる楽しい犯罪小説となっており、気分をスカッとさせたい人にはおすすめの作品です。