空港に行きたくなる小説『あぽやん』/ 新野剛志
新野剛志さんという方の作品をはじめて読みました。空港内にある旅行会社をテーマとした小説で、6話の短編で構成されています。
- 笑って、笑って
- ファミリー・ビジネス
- オンタイム
- ねずみと探偵
- 金の豚
- 不完全旅行
タイトルを目にしてすぐに思ったのが、「『あぽやん』ってなんだ?」でした。たぶん誰もがそう感じますよね。“あほ”ではなく“あぽ”なんだけど、どうしても“阿呆”のイメージが入ってしまいます。
冒頭で説明はされていますが、「あぽやん」のあぽとは空港のことで、あぽやん=空港勤務者を言うようです。昔の通信方法であるテレックスを使っていたときの名残で、空港をあらわすAPOからきているようです。
空港トラブル対応に長け、お客様への対応もしっかりとこなす空港勤務者を讃える言葉だった「あぽやん」ですがそれは過去の話。旅行会社の空港勤務は、仕事ができない人が左遷として異動させられるような場所となり、「あぽやん」はどちらかというとネガティブな表現になっていました。
大航ツーリストの遠藤慶太は、本社勤務の際に上司にちょっとした揉め事を起こしたのがきっかけで、成田空港勤務へ異動さされられていました。「あぽやん」にはなりたくない、と思いながら仕事をしている遠藤のそばには、空港勤務を何度も経験するベテランあぽやんの今泉利夫が指導社員としてついています。
今泉は仕事ができないダメ社員のような雰囲気もありますが、旅客のこととなるとプロフェッショナルな一面も見せてくれます。本書の主人公は遠藤なのでしょうが、僕は今泉のギャップのある感じが好きですね。
仕事が空港関係ということで、一般的には馴染みのない単語も出てきます。「ゴー・ショウ」や「NO-REC」とかですね。でも、ちゃんと説明はされているので安心してください。本書を読んだおかげで逆に勉強になりました。日常生活で使うことはほとんどないでしょうが(笑)
飛行機に搭乗する際は、チェックインや手荷物預け、保安検査など多くの手続きがあり、そこにはきっちり受付時間が決められれています。そのため、制限時間にまつわる様々なトラブルが起こります。そういった現場の雰囲気を垣間見ながら、仕事の内容を楽しみながら知ることができる作品です。
日本に戻ってこれなくなるという状況の中でも海外旅行に行ってしまいそうな旅客への対応、めったに起こることのないトラブルが1日に数件起こってしまうなど。トラブルだけではなく、空港でのお客さんとの心温まるやり取りのストーリーなどとても楽しめる話でした。
本書は続編もあるようなので、機会があれば読んでみます。「空港」に少しでも興味がある方であれば楽しめる小説です。ぜひ読んでみてください。
毎年1回はお世話になっていた空港&飛行機ですが、2020年からはコロナの影響で全くなくなってしまいました。早くコロナが落ち着いてまた以前のように飛行機で旅行がしたいですね。
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