染谷昌利『複業のトリセツ』感想。これからの働き方について考えさせられる一冊

2018年に出版された染谷昌利さんの『複業のトリセツ』を読みました。
会社勤めをしている方なら「副業」という言葉はもちろん聞いたことあるのではないでしょうか。すでにご自身が実践していたり職場の同僚がやっているなど、ここ数年ではだいぶその言葉を聞く機会が多くなった気がします。
その理由として、これまでタブーとされていた副業が容認されてきた流れにあります。
本書にも書かれていますが、2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表したこと、また同じ厚生労働省が提示していた「モデル就業規則」が改定され、『許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。』という文言が削除されたのが大きな動きだと思います。
本書では、これから副業をやってみたい人向けに、日本の副業環境の解説や副業で収益を上げる方法などを紹介しています。また、実際に行動に移しやすいように具体例も書かれているので、読了後は何かしらの新しい一歩を踏み出すことができるかと思います。
「副業」ではなく「複業」という考え

「ふくぎょう」と聞くと、一般的にイメージするのは“副業”だと思いますが、本書のタイトルは“複業”。
副業だと、本業というメインの仕事があって、それに対してのサブ的な仕事という考えになります。しかし、副業ではなく「複業」の重要性を本書では伝えています。「複業」とい言葉の意味は、本書カバーのそで部分に以下のよう記載されています。
【複業】
複数の本業を持つこと。
副業のような片手間仕事としてではなく、
生業として別の業種を二つ以上兼務すること。
(デジタル大辞泉より)
これからの時代、収入源がメインの1つだけだとリスクがあるので、本業・副業・投資の3種類を組み合わせたリスク分散を推奨しています。まずは目標として、年間300万円の財布を3つ保管することを目指しましょう。と本書で書かれてはいますが、金額のことを考えるとハードルが高く感じると思うので、まずはその意識を持つということが大事なのではないでしょうか。
副業のメリット=副収入、だけではない
本業とは別に副業をやることで副収入が得られますが、それ以外にも以下の3つのメリットがあります
- スキルアップ
- 人脈構築
- リスクマネジメント
副業をすることで、本業では学ばない新たな知識を得て「スキルアップ」も出来ますし、本業とは別のネットワークが広がり「人脈構築」につながります。また、現在勤めている会社を辞めなければいけない状況になっても、副業でスキルアップや人脈構築をしておくことで、「リスクマネジメント」になります。
この点に関してはすごく同意できます。私は自分のアウトプット力(文章力)を鍛えたいと思って長年ブログをやっていますが、本業での書類作成や情報発信など、その成果は確実に出ていると実感しています。
また、最近からスタートしたwebライター業では、本業ではほとんど接点のない方々と出会うことが多くなりました。現段階では本業と関係のない分野の方々が多いですが、今後の関わりがゼロとは言い切れないので、そういった意味では楽しみではあります。
時代の流れをしっかり理解し考えていこう
本書では、数ある副業の中でもインターネットを活用した副業を推奨しています。だからといって、そこだけの情報に偏っているというわけではありません。
副業を成功させるための知識や情報も紹介しているのですが、それよりも「日本経済の縮小化」や「二極化していく日本」などについて、根拠となるデータを提示してしっかり説明されているように感じました。
本書は2018年に出版され、いま私が感想記事を書いている2024年ではだいぶ年数が経っています。しかし、情報が古くて役に立たないということはなく、これからの時代をどう進んでいくかを自身で考えていくことの大切さを学ぶことができました。
本書は、会社員だけでなくフリーランスの人でも学べる一冊となっています。気になる方はぜひ手に取ってみてください。
最後になりますが、著者・染谷昌利さんからのプレゼントで本書を手にしました。染谷昌利さんのX(旧Twitter)の投稿をたまたま目にして、ダメ元で返事をしたところプレゼントしていただきました。(しかも送料も染谷さん負担で)
染谷さん、本当にありがとうございました!
DMMから(おそらく)最後の在庫を10冊もらった。欲しい人いるかな? pic.twitter.com/ptpnlTOGU9
— 染谷昌利 (@masatoshisomeya) March 12, 2024