原田マハ『アノニム』感想|アート初心者でも楽しめるアート窃盗団の物語

原田マハさんのアート小説が好きで、これまでもいくつか読んできました。アートに特別詳しいわけではないけれど、だからこそ、原田さんの小説を通して新たなアートに出会うたびに、「アートってやっぱり面白い」と感じさせられます。
タイトルにもなっている『アノニム』は、盗難されたアート作品を盗難し返し、修復したうえで本来の持ち主に返す窃盗団の名前。悪をもって悪を制する義賊といったところでしょうか。
今回読んだ『アノニム』で、初めてジャクソン・ポロックというアーティストの名前を知りました。カンヴァスを床に置き、絵の具を垂らすように描く「アクション・ペインティング」という手法で抽象画を制作するアーティストだそうです。

物語は序盤から多くの登場人物が現れて、最初は関係性を把握するのにやや苦戦します。誰が誰だったっけ?と何度かページを戻りながら読み進めることに。巻頭にはアノニムのメンバーがイラスト付きで紹介されているので、それを参考にキャラクター像を思い浮かべながら読み進めました。
物語が進むにつれて、一人ひとりのキャラクターが生き生きと動き出し、個性豊かなメンバーたちが物語に厚みを与えてくれます。それぞれの分野のプロフェッショナルが集うアートのドリームチーム『アノニム』の活躍が魅力的です。
特に印象的だったのが、アートオークションのシーン。緊張感と駆け引きの空気感が文字からも伝わってきて、読んでいるこちらも「どうなるんだろう」とドキドキしながらページを読み進めました。
アートに詳しくなくても楽しめて、ちょうど読みやすボリュームなので、原田マハさんのアート小説が初めてという人にもおすすめしたいです。
アートには世界を変える力はないかもしれない。けれど、ひょっとすると、アートで世界を変えられるかもしれないと思うことが大切なんだ。


