読書

原田マハ『フーテンのマハ』旅がしたくなるエッセイ集

フーテンのマハ

過去に職場の後輩から「マグロっぽいですよね」と言われた、小説家・原田マハさんの旅行エッセイ集『フーテンのマハ』を読みました。

原田さんは旅行好きで常にどこかに旅をしているイメージがあったため、「止まったら死んでしまう」=「マグロっぽい」と思われたようです。

タイトルにある「フーテン」の由来は、『男はつらいよ』の車寅次郎、フーテンの寅さんです。小学生の時『男はつらいよ』の寅さんをみて、あてもなくぶらぶら旅をするのにあこがれたようです。

それでは、原田マハさん『フーテンのマハ』を紹介します。

とにかく旅行がしたくなる本

『フーテンのマハ』には、32篇のエッセイが収められており、原田さんが小説家になる前の旅の話や小説家となり取材としての旅の話が綴られています。

原田さんは作品の冒頭でこう言っています。

旅が好きだ。「移動」が好きなのだ。移動している私は、なんだかとてもなごんでいる。頭も心もからっぽで、心地よい風が吹き抜けていく。

出典:原田マハ『フーテンのマハ』11ページ

「移動」が好きという、この感覚すごく分かります!

沖縄ではマイカーを運転しての移動が主ですが、県外に旅行に行くと、逆に自分が運転することなく電車での移動が主になるので、ボーッとした気持ちで移動ができるのがとても好きなんです。

原田さんは昔からの知人である、御八屋千鈴(おはちやちりん)さんとプライベートで年に数回旅行に行くようです。その旅行の名前は「ぼよグル」。

地元の美味しいものを食べ、宿ではゆっくりぼよよ〜んとする旅。それを「ぼよよんグルメ旅」と言い、「ぼよグル」の由来になっています。

過去に、小説『旅屋おかえり』を読んだことがありますが、あの作品はこの「ぼよグル」があったからこその話なんだなと感じました。話の中に出てくる土地の描写がすごくリアルで、土地の雰囲気を感じることができたのを覚えています。

また、小説『ハグとナガラ』は、原田さんと御八屋千鈴さんがモデルになっているとご自身で言っています。

原田さんの旅の話を読んでいると、旅をしたくなります。電車に揺られながら目的地も決めずに移動する電車旅をしてみたいです!

原田さんの魅力がいっぱい

ご自身のことを「カキの生まれ変わり」と自覚し、能登半島の穴水でカキを食べまくったかと思いきや、「餃子の生まれ変わり」と、餃子の有名なとある県に行って残念な体験をしたなど面白いエピソードがたっぷり収められています。

原田さんは小説家になる前はアート関係の仕事に就いていましたが、その道に進むきっかけとなったのが「永遠の神戸」の章で語られています。

学生時代に神戸の北長狭にある雑貨店でバイトをしたのがきっかけらしいのですが、学生時代の原田さん初々しい感じが素敵でした。

最後の章は、アートに興味を持つきっかけをつくってくれたお父様とのエピソードになっているのですが、「いってらっしゃい」と送り出すのが心に響きました。

小説家・原田マハが生まれるきっかけ

「沖縄の風に誘われて」の章では、ラム酒製造販売会社の社長をしている金城祐子さんの取材のため原田さんは沖縄へ行きます。(金城祐子さんをモデルにした小説『風のマジム』

取材が終わり、沖縄でのあてのない旅に選んだのが“やんばる”(沖縄の北部地域の総称)でした。

やんばるの民宿で出会った人から薦められたのが、沖縄の離島「伊是名島」でした。

『カフーを待ちわびて』を読んだことがある人ならば、この引き寄せられていくような展開にゾクゾクするのではないでしょうか。

そして、次の章「カフーは突然に」に移ります。

伊是名島の島内をぶらぶらしていると、海辺で黒いラブラドールレトリバーとその飼い主の名嘉民雄さんに出会います。

名嘉さんに犬の名前を訊くと、返ってきた犬の名前が「カフー」。

カフーという聞き慣れない言葉だったのでその意味を訊くと、返ってきた答えは、「沖縄の言葉で『幸せ』とか『よいしらせ』という意味です」

原田さんがもし沖縄に取材に行っていなかったら、やんばるに行っていなかったら、伊是名島に行ってなかったら、海辺でカフーに出会わなければ…。

この運命のようなつながりが無ければ、デビュー作『カフーを待ちわびて』、そして小説家・原田マハは生まれていなかったでしょうね。

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作品中に出てきた気になるところ

本作の中には、原田さんが訪れたお店や場所がたくさん出てきますが、その中で私が気になったところを挙げます。いつか行くことができればいいな。

  1. レストラン山崎(青森県弘前市)
  2. 割烹よし村(石川県金沢市)
  3. メゾン・ジュリアン(フランス・パリ)
  4. 誠うどん(香川県高松市)

レストラン山崎

NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場して話題となった、完全無農薬のリンゴ栽培に成功した木村秋則さんのリンゴを使った料理を提供。

ひと口飲んで絶句するほど美味しかったという「木村秋則さんのリンゴの冷製スープ」をぜひ飲んでみたいですね。

割烹よし村

よし村で食べた「蟹炒飯」の美味しさを某航空会社の機内誌に寄稿したら、金沢市長から「あの蟹炒飯を食べられるのはなんというお店ですか?」と問い合わせが来たらしい。

そこまで「食べたい」と思わせる蟹炒飯はどんな味なんでしょう。気になります。

メゾン・ジュリアン

パリのバゲットコンクール上位入賞の常連店である、メゾン・ジュリアンのバゲット

あまりの美味しさで、原田さんはパリ滞在中に1日2食は食べ続けたらしいです。

場所がフランスということもあり、行く可能性はかなりゼロに近いですね…。気になります!

誠うどん

タクシーの運転手さんが一番におすすめしてくれたという、誠うどん。

餅かと思うほどの麺のコシと、天ぷら満載でうどんで驚きの価格だったそう。

おわりに

この本を読んでいると、原田さんの旅行好きの思いがすごく伝わります。コロナ禍で移動の自粛が求められていた中、原田さんは思うように旅行できたのかなと余計な心配をしてしまいました。

いまこの記事を書いているときは、まだ新型コロナが各地で猛威をふるっている状況。私ももしばらく旅行に行けてません。2021年の間には安心して旅行に行くことができるのでしょうか。

原田さんの作品を知らなくても、『フーテンのマハ』は旅エッセイとして楽しめます。ぜひご一読ください!

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