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『おーい、中村くん 〜ひきこもりのボランティア体験記〜』人の繋がりの大切さを感じさせてくれる作品

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おーい、中村くんひきこもりボランティア体験

『おーい、中村くん 〜ひきこもりのボランティア体験記〜』は、長年ひきこもりだった中村秀治(なかむらしゅうじ)さんの東日本大震災後の被災地ボランティアの経験を綴った作品です。

2018年9月の第21回日本自費出版文化賞の特別賞にも選ばれています。

ただの体験記ではなく、多くの気づきも与えてもらった作品でした。自費出版の作品なので、なかなか流通していないかと思いますが、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。

それでは、中村秀治さんの『おーい、中村くん 〜ひきこもりのボランティア体験記〜』を紹介します。

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著者の中村秀治さんについて紹介

中村さんは小学5年生のころから「学校を休みたい」と両親に訴えるようになり、6年生になると学校に行けなくなりました。

中学校入学後の最初の一週間は学校に通いますが、そのあとはまた学校に行くことができなくなります。

夜間の定時制高校を卒業後に就職をしますが、約10ヶ月ほどでまたひきこもり生活に戻ってしまいます。

就職もしますがそこでもうまくいかずに、ひきこもり生活が25歳まで続いてしまいます。

ひきこもり生活からの転機

25歳までずっと引きこもりの生活でしたが、2011年3月の東日本大震災の被災地の状況をテレビで見て、ふと「ボランティアに行きたい」と思います。このボランティアに行きたいという思いをきっかけに、長年続いていた中村さんのひきこもりが終わることになります。

被災地での活動期間を『未定』としてスタートしたボランティア活動ですが、9月から11月までの約3ヶ月間も活動することとなりました。

「釘宮さん」の対応に感動

本書には、中村さんがボランティア活動の中で経験した多くのエピソードが綴られています。その中でも、私が特に印象に残ったのは塩釜ボランティアセンターで出会った釘宮さんとのエピソードです。

中村さんが釘宮さんに自身のひきこもりのことを告げるシーンがあります。釘宮さんに話すことができたのは「この人になら話してもいいのかも」と思わせてくれるような人柄が、釘宮さんにはあったんだろうなというのがすごく伝わる場面でした。

ボランティア活動をしばらく続けていく中で、中村さんはボランティア同士でのコミュニケーションはなんとか取れるようになってきていましたが、被災者とのコミュニケーションを取ることがなかなかできていない状況でした。

そんな中、釘宮さんは中村さんに「被災者に米を渡す」役割を作ります。釘宮さんと一緒に戸別訪問をし、釘宮さんが被災者へ説明をしたあとに中村さんが米を手渡すというものです。

米を渡すだけなら喋らなくてもできるし、被災者との関わりも持つことができる。中村さんへ無理のない役割を作ってあげるのはすごくうまいなと感じました。

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役割を与えられることで、人は存在意義を見出せるのだと思います。

その後、中村さんは1人で訪問活動に行きますが、被災者とのやり取りでトラブルを起こしてしまいます。

人と関わるボランティア活動をするにはコミュニケーションスキルも必要になってきます。ひきこもり生活が長く、コミュニケーションが上手く取れない中村さんは「自分はボランティア活動をしてはいけない」と落ち込んでしまいます。

そこで釘宮さんが、中村さんに話した内容が素晴らしかったので本書から引用します。

「自分が悪いだなんて思っちゃダメだよ。その怒った被災者にも理由があるんだよ。今、被災者は家族や家を失っていている方も多くいて、そして半年以上も大変な生活をしているの。だからその怒った人は、今だけは心の余裕が無いんだよ。あなたが悪いわけじゃない」

トラブルの原因が中村さんのコミュニケーションスキルが無いからではない。相手が怒ったのは、あくまでも「心の余裕が無いだけ」。中村さんをフォローしながらも、被災者の方も悪者扱いしない釘宮さんの配慮に感動でした。

会いに来てくれるだけでいい

被災地でのボランティア活動としてイメージするのは、片付けなどの肉体労働や義援物資を届けることが多いと思います。

中村さんが1人で訪問活動をしたときに出会ったおばあさんは「服などの支援はもういらない」と言います。そして、「会いに来てくれるだけで良い。あなたで良いんです。と中村さんに話します。

体を動かすのもボランティアですが、「会って話を聞く(傾聴)」も立派なボランティアです。人ってお金やモノではなく、最終的には人との繋がりを必要とするんですね。

おわりに

ひきこもり当事者の方が書いた作品を読むのは初めてだったのですごく新鮮で、多くの気付きをもたらせてくれた作品でした。

本書は自費出版という形なのであまり流通はしていないかと思いますが、機会があればぜひ読んでいただきたい作品です。

私は東北地方には行ったことがないのですが、いつか被災地を実際に訪れてみたいと思っています。本書を読んで、被災地に行ってみたいという気持ちがさらに強くなりました。

本書を読んだあとに宮城県の被災地(震災遺構)を訪れる機会がありました。過去のことではありますが、その時の状況などを目の当たりにすることで、自分自身の行動や考えを見つめなおすきっかけとさせていただきました。

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沖縄県在住の読書好きなサラリーマンブロガー。
沖縄のお店やお出かけスポットなどの情報、趣味の読書に関することなどを雑記的に書いています。
「Yahoo!ニュース エキスパート」 地域クリエイターとしても活動しています。
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