森絵都『ラン』元気をもらえるファンタジー小説
森絵都(もりえと)さんの『ラン』を読みました。
図書館で出会った1冊。私はランニングが好きなので、ランニングに関するような小説であればつい気になって手に取ってしまいます。
森さんの作品を読むのは初めてだったのですが、森さんは1990年に『リズム』で小説家デビューされています。
『カラフル』(第46回産経児童出版文化賞受賞)、『DIVE!!』(第52回小学館児童出版文化賞受賞)という作品が映画化、アニメ化されているようです。そう言われると、タイトルに聞き覚えがあります。
森さんは経歴を見ても、児童文学が得意なような印象です。本作品を読んでも感じましたが、文体が軽く読みやすかったです。
森絵都さん『ラン』は以下のような方にオススメできるかと思います。
- 中高校生や20代などの若い世代
- 堅苦しい文体の小説は読み慣れていない、小説初心者
- 小説からパワーをもらって新たな一歩を踏み出したい人
それでは、森絵都さん『ラン』を紹介します。
暗いテーマだけど内容は軽め
主人公は夏目環(たまき)という22歳の女の子。
両親・弟を交通事故で亡くし、その後一緒に暮らすおばさんも亡くなってしまいます。まわりにいた親族が亡くなり天涯孤独で日々を過ごしています。
大学を中退し、アルバイト先では陰湿ないじめに合うという、環境としてはあまりよろしくない状況で日々を過ごします。
そういう最悪な環境の中、環はふとしたことがきっかけで、「死後の世界」の手前の異世界に行くことになります。そこでは亡くなった家族が暮らしていて、そこに行けばいつでも亡くなった家族に会うことができます。
いま過ごしている世界よりも、家族がいるあの世に魅力を感じていく環。
設定だけを見るとすごく暗いような感じですが、環の語り口調で進んでいくストーリーになっているので読みやすいです。
個性的で魅力的な登場人物
本作品では多くの登場人物が出てきますが、それぞれキャラが立っているので分かりやすいです。
序盤にサラッと登場してそれで終わりかと思っていた人が、意外と主要なキャラクターだったりと意外性もありました。逆に、「あれ?あの人の扱いこんな感じ…?」と思う部分もありました。
ネタバレにならない程度に軽く書きますが、醤油の一升瓶を一気飲みしてしまうような破天荒なキャラも…。あまりにもバカバカしくて思わず笑ってしまいました。
「良い作品」ですが私はハマりませんでした
本作品はとても読みやすい小説で、他の人の感想などでは「号泣した」などを聞くことができます。でも、私はあまりハマらず泣くようなこともなかったです。
家族とまでは言わないが、私も親しい人を亡くした経験はあります。
もちろんその時はとても悲しく辛かったですが、環のように過去にとどまるようなことにはならないんですよね。良くも悪くも、深く考えすぎない楽観的な性格だからでしょうか。
そういうこともあってか、過去をひきずる環に共感できないのもハマらなかった理由の一つだと思います。また、私が思っていたのとは違う「ランニング小説」だったのが、ハマらなかったポイントでもあります。
しかし、小説としては「良い作品」で、私にはハマらなかっただけなので誤解のないように。
おわりに
本作品は、ランニングを扱った小説ではありますが、「ランニング小説」ではなく、主人公の成長を感じる青春ファンタジー小説といった感じでしょうか。
冒頭にも書きましたが、とても読みやすい小説なので、ふだん小説を読み慣れていない人にもオススメです。
ちなみに私の好きなランニング小説は、三浦しをんさんの『風が強く吹いている』です。よろしければそちらもご覧ください。
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