『街灯りとしての本屋』感想。11書店店主の想いを知ることで本屋の大切さを感じられる一冊
2019年出版、田中圭祐さんの著書『街灯りとしての本屋』を読みました。
11書店の店主にインタビューをし、お店をはじめたきっかけやオープンまでの経緯、日々のエピソードなど、最後に「これから本屋を始める人たちへ」でまとめられたものになっています。
本書は、以下のような方にオススメできる作品です。
・本屋をはじめたい人
・本屋をやっている人
・本屋が好きな人
上記に当てはまらなくとも、店主の話から得られるものがきっとある作品です。
それでは、田中圭祐『街灯りとしての本屋』を紹介します。
本書の感想
『本屋は儲からないけど、すごく楽しそう!』
もちろん「楽しそう」だけでできるものではなく大変な部分もあるだろうけど、読み終わった後に率直に思ったのがこの感想でした。
それぞれの店主の話の内容を見ていると、本屋がただ本を売るだけでなく、店主やお店の個性を出しつつ、その地域や人とのつながりを作っているのが印象的。
本屋と図書館がコラボして、「本屋のPOPを図書館に置く」「図書館が選んだ本を本屋で売る」などの取り組みで、お互いに地域を盛り上げていることなども紹介。
一人ではなく複数名がシェア店主として協力して運営する『せんぱくBookbase』、熊本県南阿蘇鉄道の駅舎を活用している『ひなた文庫』、本の取次・本屋・本の制作など本に関する仕事をなんでもする『H.A.Bookstore』など、同じ本屋と言えどもその経営スタイルは多種多様だと感じました。
「H.A.Bookstore」店主の松井さんが、「実店舗の本屋を出す人が増えると嬉しい」と言っていたエピソードが印象的でした。本書より引用して紹介します。
自分の住む街に本屋がなかったら、その人は一生本を買わないかもしれない。様々な本が並ぶ棚から、たった一冊の本と出会い、自分のお金で買うという体験をしらないかもしれない。本屋に限らず、本棚があって本を売ってる店が通学路にあれば、小学校六年間で一回くらい入るんじゃないかな。そういう出会い、色々な本が一覧で見れて、それを買えるという状況がなくなったら、この世の本は死ぬと思っているんです。
なんでもネットで買える時代。大人だとネットから簡単に本を購入することができると思いますが、決済手段のことを考えると子どもたちが気軽に本と出会えるのはやはり実店舗。
私のまわりでも昔からの本屋が閉店していく状況にあります。実店舗の必要性をあらためて再認識させられました。
- えほんやなずな(茨城県つくば市)
- クラリスブックス(東京都世田谷区)
- 敷島書房(山梨県甲斐市)
- 書肆スーベニア(東京都墨田区)
- せんぱくBookbase(千葉県松戸市)
- ひなた文庫(熊本県南阿蘇村)
- 双子のライオン堂(東京都港区)
- Cat’s Meow Books(東京都世田谷区)
- H.A.Bookstore(東京都台東区)
- Readin’ Writin’ TAWARAMACHI BOOK STORE(東京都台東区)
- SUNNY BOY BOOKS(東京都目黒区)
本書第二章では、本屋を始めたい人のためのQ&Aが掲載されています。想定される様々な疑問についてしっかりと答えが掲載されているので、とても勉強になるかと思います。
- 開業前の準備はどんなことが必要でしょうか
- 開業資金はいくらぐらい必要でしょうか
- 在庫は何冊くらいあったら良いのでしょうか
おわりに
本屋が好きな私は「若い時に書店で働きたかったな」と今でも思います。生活のことを考えると、今から本屋を職業にするのはハードルが高いけど、それでもやっぱり本に関わることをしたいと思わせてくれる一冊でした。
これから本屋をやってみたい人、本屋が好きな人はぜひ読んでみてください。
『街灯りとしての本屋』読了。
— ヒージャ@会社員ブロガー (@hiija2sw) October 9, 2023
特色のある11書店が掲載。本屋をはじめたい人、本屋が好きな人におすすめな一冊。
ショッピングモールに入っている大型書店に行きがちだけど、やはり身近な存在の本屋は大事だなと実感。#読了 pic.twitter.com/QM2hgFfaMM