貴志祐介『悪の教典』怖いけど読み進めてしまう一冊

貴志祐介さんの『悪の教典』を読みました。
貴志祐介さんや本作のことも知りませんでしたが、図書館で偶然出会いました。
『悪の教典』は、「このミステリーがすごい!2011年版」に選ばれた作品ですが、読んだ感想としてはミステリーというよりは暴力的・グロテスクな描写が多い作品だと感じます。
苦手な人には読み進めるのがキツくなるかも…
それでは、貴志祐介さん『悪の教典』の感想を書きたいと思います。ネタバレの点もあるかと思いますので、気になる方はご遠慮ください。
あらすじ
晨光学院町田高校に英語教師として勤務する蓮美誠司。生徒からは「ハスミン」と愛称で呼ばれるほど人気があり、同僚の教師からの人望も厚い。
しかし、裏の顔は自身の障害となるものは動物・人間関係なく殺して排除していくサイコパスな人物。
サイコパスとは、感情の一部が欠如しているといわれる精神病質者。自信にあふれて魅力的に見える、表面上は口が達者などといった特徴があります。
作中の蓮実聖司もまさにそんな人物で、イケメンで頭が良くて社交的、教育熱心で思いやりがある振る舞いをします。理想の教師ともいえる人格者のように見えますが、実は他人を思うように操ることに喜びを感じ、自分にとって都合の悪いものは容赦なく排除していきます。
感想・殺人鬼だけど魅力的な蓮美誠司
私はあらすじや内容を全く知らずに読み始めたので、物語の序盤では、学校内で起こる様々なトラブルに対して、親身になって対応していく蓮美がとてもすばらしい教師のように感じました。
表向きはトラブルを綺麗に解決したように見えますが、犯罪行為も含め誰にも分からないように処理して、知らぬ顔で日常生活を過ごしているのが不気味です。
また、蓮美が突然、自作の器具を使って近所のカラスを殺害する描写が出てきますが、個人的にはそこで話の雰囲気が変わり始めた気がしました。
「なぜこういうことが出来てしまうのか」と、読みながら感じてしまうほど普通では考えられない思考の蓮美誠司。
しかし、猟奇的な殺人鬼である「蓮美誠司」という人物になぜか惹かれてしまう不思議な感覚があります。
蓮美誠司が邪魔者を排除していく描写が生々しくて、読み進めるのが怖くなりましたが、なぜか気になってしまう。
読み終えたあと、個人的には「読んでよかった!」と思えたほどインパクトが大きい作品でしたが、だからと言ってこの作品を「面白いから読んでみて」と気軽に言っていいのかと悩むほどの作品。
しかし、私のなかでは記憶に残り続ける作品の一つだと感じています。
映画化もされています
悪の教典は、2012年に映画化もされていて、蓮美誠司役を伊藤英明さんが演じています。
私は小説を読み終えたあと、内容を確認するような形で映画版を鑑賞しました。
小説のボリュームを映画の時間枠に収めるのはやはり難しいのか、カットされている部分もいくつかありました。小説を事前に読んでいれば分かるような流れでも、映画だけを観た人にはシーンによっては唐突な印象を受けるんじゃないかと感じました。
登場人物の細かい心理描写はやはり活字で読む小説の方がいいと思いました。
蓮美誠司が犯した数々の殺人についても、小説と映画では若干の相違がありました。映像化できないほどの暴力的な表現が小説ではされています。
小説どおりの描写は無理ですよ…
おわりに
序盤の軽い印象とは違い、後半からは蓮美誠司のサイコパスな感じが顕著にあらわれてきます。
ボリューム感のある小説ですが、後半以降はテンポ良く進んでいき、あっという間に読み終えてしまうはずです。
人によっては不快に感じる作品かもしれませんが、サイコホラーを楽しめる方にはオススメできる作品です。
文藝春秋の特設サイトでは、著者の貴志祐介さんへのインタビューを読むことができます。読了後にぜひご覧ください。
著者インタビュー|貴志祐介 『悪の教典』特設サイト|文藝春秋
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