『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』ドラえもんに学ぶ人間とAIの関係性

『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』は、台湾のデジタル担当政務委員である、オードリー・タン(唐鳳)さんの初の自著となる作品です。
オードリーさんの生い立ちや台湾での仕事のこと、これからのデジタル社会についてなどの考えが書かれた作品になっています。
オードリー・タン(唐鳳)さんについて紹介
ITに詳しい方ならもちろんご存知だとは思いますが、そうでない方も台湾でのデジタルを活用したコロナ対策の報道等で見かけたことがあるのではないでしょうか。
史上最年少で台湾行政院に入閣
オードリーさんは、台湾の行政院(日本でいう内閣)の閣僚で、デジタル担当の政務委員を務めています。
中学校を中退という学歴でありながら、米アップルのデジタル顧問に就任、その後35歳という史上最年少の若さで台湾の行政院に入閣。トランスジェンダーということも話題になりました。
名前「唐鳳」の意外な由来
オードリー・タンという名前は英語名であり、台湾での名前は「唐鳳(とうほう)」と言いますが、これには意外なエピソードがあります。
元々の名前は「唐宗漢(とうそうかん)」でしたが、トランスジェンダーを公表したことをきっかけに名前を「唐鳳」に変えています。
男女関係なくニュートラルな名前ということで英語名「オードリー(Audrey)」を先に決めていて、台湾での名前には「鳳」の字を使うまで決めていました。
台湾での名前は漢字三文字が一般的なので、オードリーさんはもうひとつの字を考えていました。
そんな中、友人から「『鳳』という漢字は日本語で”おおとり”と読むから、オードリーの日本語発音と似ている」と聞かされ、「だったら新しい名前は『鳳』だけにしよう」と決めたそうです。
漢字二文字の名前が少数派である台湾で、あえてマイノリティ(少数派)の選択をしています。
マイノリティだから自信を失うのではなく、多数派に対して「皆と異なる見方ができる」「皆には見えない問題が見える」と、マイノリティの立場を逆に強みに変えています。
人間とAIの関係性は、「ドラえもん」を想像すると良い
これからAIがどんどん進化していって、「AIが人間を超えるのではないか」と危惧される方もいますが、人間とAIの関係は「ドラえもん」をイメージするといいのではと書かれています。
とても優秀なロボット(AI)のドラえもんですが、ドラえもんはのび太くんにあれこれと命令をするわけではない。また、のび太くんも何もせずにドラえもんに任せっきりということはありません。
ドラえもんの目的は、のび太くんを成長させることです。AIは人間が成長していくためのツールとして上手く付き合えばいいのではないでしょうか。
昔から何気なく見ていた「ドラえもん」ですが、AIと人間の関係性という視点で見るとちょっと面白いですね。
デジタル技術が政治を変える
インターネットが発達した現在では、SNSを活用して自分の思いを発信することができます。
これまでの古い社会では、雄弁な人が大衆の支持を得て政治家になることが多く、大勢の人の前で話をするのが苦手の人は政治家に向かなかったかもしれません。
しかし、これからはネットを通じて自分の主張や政策を伝えることで政策に絡むことはできるのではないでしょうか。台湾の蔡英文総統も口下手な部類に入るのではとオードリーさんは言っています。
自身の熱い想いを語る扇動型の政治家もいいですが、物事を冷静に分析して静かに語るタイプのほうが僕は好印象を持ちます。
世代を超えた共同作業の場
台湾には、青年(青)と年配者(銀)が共同で学び創りあげるという「青銀共創」という試みがあるそうです。
デジタルが得意ではない年配者は、若者からデジタル社会に対しての知識を学び、若者は年配者から知恵や経験を学ぶというものです。
多くの世代や多職種の意見を聞き、取りまとめて政策に活かすことができればと思いますが、今の日本にはどうしてもどちらかに偏った議論の場になりがちかなと思います。
2021年9月には日本に「デジタル庁」が設置されます。台湾のようにデジタルを活用した、大衆の意見を汲み取れる仕組みを作ってくれること期待します。
おわりに
2020年は新型コロナの影響によって人々の移動が制限された年でした。本書の出版にあたっては台湾と日本をオンラインで結んで話し合って作り上げるという、デジタル技術によって生み出された一冊だとオードリーさんは言います。
本書を読みデジタルを活用した台湾の取り組みを聞いていると、台湾という国にすごく興味を惹かれました。これまで一度も行ったことがないけどぜひ足を運んでみたいなと思いました。
『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』、ぜひご一読ください。
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