読書

岩田松雄『MISSION ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』僕たちは何のために働くのか?

元スターバックスCEOである岩田松雄さんの著書『MISSION ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』を読みました。

『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』という岩田松雄さんの著書と出会って以来、岩田松雄さんのファンになりました。

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みなさんは「ミッション(使命)」について考えたことがありますか。ミッションとは、企業でいうと「その会社がなんのために活動をしているのか」を表し、個人で考えると「僕たちは何のために働くのか」を表すものだと思います。

「私たちは、何のために働くのか。どうすればやりたいことが見つかるのか。」

この問いに対する答えを用意できるかわからないが「読者と一緒に考えることはできる」と岩田さんは冒頭で触れています。

スターバックスはコーヒーを売っているのではない

スターバックスへのクレームで一番多いものをご存知でしょうか。

一番多いクレームは「混雑に対するもの」。テキストを広げて勉強する学生や、ノートパソコンで仕事をするビジネスマンなどが長居をしているため、座りたいのに座れないというクレームがあるようです。

しかし、スターバックスでは基本的には長居していているお客さんを追い出したりはしません。専有時間を制限して客の回転率を上げるほうが、売り上げをアップすることにつながりますが、そのようなことはしません。

なぜなら、スターバックスのミッションが、コーヒーを売ることではないからです。

人々の心を豊かで活力あるものにするためにー

ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから

これはスターバックスのミッション。シンプルなフレーズですが、スタバらしさが出ていて頭にスッと入ってきませんか?

スターバックスには、「お客様が、リラックスできたり(活力を得る)、賢くなったり(栄養をとる)すれば、それでいい。」という考えがあるようです。

客が長居することによって、短期的に見ると売り上げが落ちるというマイナス要因かもしれません。しかし、その客がお店にいた時間で新しい価値を創造し、社会にとって良い影響を与える。それがスターバックスの存在理由になっています。

「何をやりなさい」ではなく、「なぜそれをやるのかを考える」

交通事故と1杯のコーヒー

ある日、ドン!というすさまじい音が響きました。びっくりして窓の外を見ると、お店のまさに目の前で交通事故が起きていたのです。

事故を起こしたドライバーの女性をはじめ、幸いにして関係者にケガ人がいないようでした。

ただ、そのドライバーの女性はショックを受けて歩道に突っ立ち、顔を白くして警察官の到着を待っている様子でした。

すると、それを見ていたパートナーがコーヒーを一杯持って、外に出て行ったのです。

彼女はドライバーに笑顔で声をかけ、「どうぞこれを飲んで心を落ち着かせてください」とコーヒーを手渡しました。

もちろん女性ドライバーはスターバックスのお客様ではなく、たまたま事故を起こしてしまったのが店の前だったというだけ。

これはスターバックスで実際にあった話。アルバイトのパートナーが自分の判断でやったこの行動は、事前にマニュアルに書けるようなものではありません。

スターバックスには「Just Say Yes!」という原則があり、これは「道徳、法律、倫理に反しない限り、お客様が喜んでくださることは、何でもして差し上げる」ということ。

スターバックスは新しく入った従業員に対して70時間もの教育を行うそうです。コーヒーの淹れ方や基本的な接客はもちろんですが、スターバックスのミッションについても徹底教育をするそうです。

「○○してください」と言われたときに何も考えずにそれをやるのではなく、「なぜそれをやるのか?」ということをしっかり理解、または常に自問自答するスタッフを育てています。また、リーダーはその現場の判断したことを全力でサポートする必要があるのです。

自分のミッションを作る7つのヒント

ヒント1:働き方ではなく、働く目的を考える

人はそれぞれのミッションを持ち、この世に生を受け、その達成のために命を燃やします。会社員、経営者、フリーランスなどの身分は関係ありません。

大切なのは世の中をよくするために、心の底からわき出てくる使命感です。

ヒント2:自分、ミッション、会社は三位一体で成長する

今の時点でミッションがないことを恥じる必要はどこにもありません。自分のミッション、つまり今生かされている理由を考え続けることこそが大切です。

ヒント3:「私」を無くす

ミッションを構築するにあたって、岩田さんが重要だと考えるのは、「私」を無くすこと。自分の営利栄達ではなく、何らかの形で世の中をよくしていこう、人のためになることをしようという志(ミッション)を定めたなら、思い切ってビジネスを始めてみればいいと言っています。

ヒント4:3つの輪は何か考える

①情熱を持って取り組めること(好きなこと)、②世界一になれること(得意なこと)、③経済的原動力になるもの(何か人のためになること)、この3つの輪が重なる部分が自分自身のミッション。この重なる部分が何かを考え続けることが大事です。

ヒント5:ミッション探し、自分探しの旅はずっと続く

岩田さんは50歳を超えて先ほどの3つの輪を探し、自分のミッションを見つけました。ミッションは生きている限り考え続けるものであり、また考え続けることが大切です。

でも、個人のミッションは、会社のミッションと必ずしも100%イコールである必要はなく、更新し続けることがミッションです。

ヒント6:自分の存在を肯定する

「ミッションを持つなんて……生きていくのに精一杯」という人もいますが、ひとりひとりにはこの世に生まれてきた意味が必ずあります。

何のために、だれのために尽くすべきなのか、内なる心の声に耳を傾けてください。

ヒント7:「自分はまだまだ」の気持ちが成長を加速する

ミッションを成長させ、進化させていく原動力は「謙虚さ」。謙虚さこそが、勉強し続け自分を磨いていくために必要な栄養素です。

たとえば創業した会社の株式を上場させた。億単位のお金も手に入った。そこで止まってしまう人は、要するに謙虚さをお金と引き換えに売り渡してしまったのです。しかし、そこで「自分はまだまだ…」と思えた人は次のステップに進んでいけます。

あとがき

会社員である僕にとって、会社の理念を意識することはもちろんあります。逆に会社員であるために、自分自身のミッションということについて考えたことがない、特に無くてもいいものだと思っていました。

会社員、フリーランス、経営者など自分の立場に関係なく、それぞれがミッションを持ち、社会をよくする一翼を担うことが大切と岩田さんは言っています。「ミッションを持った人は、がんばれるのです。」という言葉も響きました。

本書では、ミッションを作るヒントの他にも、ミッションを育てる方法についても書かれています。岩田さんの体験したエピソードもいくつか紹介されており、とても読みやすい内容になっています。

モチベーションが絶対に上がる一冊ですので、自分自身の働き方や、生き方に少しでも悩んだりしたことがある人にはおススメできる一冊です。