読書

原田マハ『暗幕のゲルニカ』ゲルニカに込められたメッセージとは

20世紀を代表する芸術家、パブロ・ピカソ。そして、そのピカソの作品「ゲルニカ」。

詳細は知らなくてもその名前は多くの人が知っているのではないでしょうか。また、「ゲルニカ」という名前を知らなくても、作品を目にすると「見たことある」という人がほとんどだと思います。

ヒージャ

うちの妻に見せたら「全く知らない」と言われましたが…

今回紹介する『暗幕のゲルニカ』は、ピカソの代表作「ゲルニカ」を題材とした作品です。

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私はアート好きですが、知識・教養があるというわけではありません。

本書を読むまで作品「ゲルニカ」がどこに保管されているかも考えもしませんでしたし、ゲルニカのレプリカが国連にあるということも知りませんでした。

しかし、そういった知識がまったく無くても小説として楽しめる作品になっています。

それでは、『暗幕のゲルニカ』の感想を書きます。

ゲルニカとは

本作に登場する「ゲルニカ」について簡単に説明します。

  • パブロ・ピカソによって描かれた、縦・約3.5m、横・約7.8mの大型作品
  • 1937年のパリ万国博覧会スペイン共和国館に展示するために制作
  • スペインが民主国家になるまで保護してほしいという、ピカソの希望により1981年までMoMA(ニューヨーク近代美術館)に委託されていた
  • 1992年にスペインのソフィア王妃芸術センターに展示されるようになってからは、一度も外部に貸し出されたことはない

『暗幕のゲルニカ』を読んだきっかけ

もともと原田マハさんの作品が好きで、これまでいくつかの作品を読んでいました。原田さんは小説家でありながら、学芸員の資格を持つ「キュレーター」でもあります。

そういったことからアートをテーマとした小説も多く執筆しています。以前に「モダン」という作品を読みましたが、それから原田さんのアート小説に惹かれています。

図書館で本書を手に取りましたが、数多くの原田さんの作品がある中、「ゲルニカ」という知っているワードが入っていたため直感的に手に取り読むことになりました。

『暗幕のゲルニカ』はこんな作品

この作品では2つの時代が交互に書かれたストーリーになっています。

・ピカソが生きていた20世紀
・アメリカ同時多発テロが起こった21世紀

20世紀パートでは、ピカソがゲルニカを描くことになった経緯やアートの力によって伝えたかった思いを受け取ることができます。

21世紀パートでは、2001.9.11アメリカ同時多発テロのあった当時、国連本部にあったゲルニカのタペストリーに暗幕が掛けられたことを巡って話が展開されます。

ヒージャ

ゲルニカのタペストリーに暗幕が掛けられたというのは事実のようです。

本作はフィクションでありながら、実在した人物も出てくるため、「本当にあった話?」と錯覚してしまう感覚がハマります。

『暗幕のゲルニカ』感想

2つの時代を行き来するストーリー展開が、常に新鮮さを感じながら読めたかなと思います。70年以上も差がある時代が、ゲルニカという作品でつながるのがすごいと感じました。

ピカソが生きていた20世紀のストーリーでは、ピカソが主人公のようでそうではなく、ピカソの愛人ドラ・マールを中心にストーリーが展開しているように感じます。

架空の人物「パルド・イグナシオ」が登場しますが、実在したピカソやドラ・マールと一緒に描かれるため、本当に実在した人物かのように思えます。とても重要なキーマンです。

21世紀のストーリーでは、ニューヨーク近代美術館のキュレーターである八神瑤子が、反戦への強い思いを込めて「ピカソの戦争」展を企画します。

美術館の企画展というと各所から作品を預かって展示するのですが、ゲルニカという作品は簡単に動かすことのできない複雑な要因があることが分かりました。

時代は違えど、戦争という行為へアートの力で立ち向かうピカソと瑤子ふたりの思いがゲルニカを通して感じることができます。

どのようなラストになるのだろうとドキドキしながら読み進めることができました。

この作品を読むと、誰もがゲルニカに対して興味を持つと思います。

2022年現在、スペインのソフィア王妃芸術センターに保管されているゲルニカ。どの国にも貸与されず動かされないと言われていますが、今後スペインからゲルニカが出ることがないのか気になります。

本作を読むと本物のゲルニカを見てみたくなりますが、スペインまで行かないと見れないんですよね。しかし、忠実に複製されたゲルニカのタペストリーが日本で見ることができるようです。

ヒージャ

ゲルニカのタペストリーは世界に3つしかない貴重なものです!

群馬県の「群馬県立近代美術館」が所蔵しているらしく、いつか機会があればこの目で見てみたいものです。

おわりに

ゲルニカという作品をテーマに反戦・平和を考えさせられた『暗幕のゲルニカ』は2016年出版の作品ではありますが、手にとって読んだのは2022年。偶然にも、ロシアのウクライナ侵攻というセンセーショナルな出来事が起こったタイミングで読むこととなりました。

なんの予備知識もなく本作品を手に取ったのですが、この時期に出会ったのは私にとってすごく運命的なものを感じました。

原田マハ『暗幕のゲルニカ』はフィクションの内容ですが、原田さんのゲルニカに対する思いや、ゲルニカの持つパワーを感じることができました。ぜひ読んでもらいたい作品です。

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